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名古屋大学大学院 理学研究科 生命理学専攻
遺伝学グループ
(1)
(1)発生過程において組織が形作られる仕組み
昆虫が示す様々な外部形態(翅や肢、角などの外骨格形態)は、「上皮シートの折り畳み構造」である成虫原基が3次元的に伸展することで作られます。原基の伸展は非常に速く、その間、細胞の増殖・移動がほとんど起らないことから、成虫の外部構造は折り畳まれた状態でほぼ完成していると推察されます。しかしながらその場合、「外部構造を折り畳んだ状態で作る」という驚異的な現象が起こっていることになりますが、その仕組みはほとんど分かっていません。本研究室では、分子遺伝学的解析およびライブイメージングに有利なショウジョウバエを用い、折り畳みの形成と展開の分子レベルの調節機構を、主にミクロレベルに焦点を当てた解析を行います。得られた結果から数理モデルを構築することで(共同研究)、折り畳みを介した形態形成の基本法則を明らかにすることを目指しています。
(2)
(2)組織の恒常性を維持/がんの発生や進展する仕組み
① 「細胞競合」の分子基盤・生理機能の解明
多細胞生物の組織/器官を構成する細胞集団において、細胞同士は協調するだけでなく、お互いにその生存を“競い合う”(“競合”する)こと分かってきました。細胞同士が競合する現象「細胞競合」はこれまでに、組織/器官のサイズの調節や、恒常性の維持、良質な幹細胞の選別、さらには、状況に応じて、がんの抑制あるいは進展に貢献することが報告されていますが、その分子機構や生理的役割は、いまだ不明な点が数多く残されています。本研究室では、ショウジョウバエ遺伝学を駆使し、細胞競合の分子機構や、個体発生やがん制御における役割を解析しています。
②「細胞間相互作用を介したがん発生・進展」の分子基盤の解明
近年、がんの発生・進展において、多段階的な突然変異の蓄積による遺伝的変化に加えて、がん原性細胞を取り巻く周囲の細胞との相互作用が重要な役割を果たすことが分かってきました。しかしながら、その生体レベルでの分子機構はいまだほとんど分かっていません。私たちは、ショウジョウバエ腫瘍悪性化モデルを用い、特に、がん原性細胞群に応答する血球系細胞の役割とその分子機構を、ショウジョウバエ遺伝学およびライブイメージング、さらにはトランスクリプトーム解析により明らかにしようとしています。
(3)
(3)組織をロバストに構築する仕組み
多細胞生物は1個の受精卵から複雑な組織・器官を形作り、個体を構築します。この多細胞生物の発生過程は、遺伝子の突然変異や環境の変化・栄養状態などにより影響を受ける可能性がありますが、これら様々な刺激を受けながらも最終的には決められた形・大きさの組織を形成する、きわめてロバストなシステムであると考えられています。私たちはこれまでに、ショウジョウバエ翅成虫原基には、細胞ターンオーバー(細胞死と細胞増殖による細胞の入れ替え)を介して正常な形・大きさの翅を形成するロバストなシステムが存在することを明らかにしてきました。今後、この細胞ターンオーバーの分子実体やその普遍性、さらには、細胞ターンオーバー以外の“未知”の制御システムを同定・解析していくことで、ロバストな発生を支える分子基盤を明らかにすることを目指します。
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